読書と感想。 …

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「飯」 (BY 千家 元麿)
 
君は知ってゐるか
全力で働いて頭の疲れたあとで飯を食ふ喜びを
赤坊が乳を呑む時、涙ぐむやうに
冷たい飯を頰張ると
餘りのうまさに自ら笑ひが頰を崩し
眼に淚が浮ぶのを知ってゐるか
うまいものを食ふ喜びを知ってゐるか
全身で働いたあとで飯を食ふ喜び
自分は心から感謝する
 
出典:
日本少国民文庫(1942年)
https://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1717215
 
(感想)
ドライな目で観察すると、要するに、肉体労働によって、ドーパミン(意欲向上、快感を起こす)、エンドルフィン(ランナーズハイ:一時的な多幸感を起こす)、ノルアドレナリン(筋肉に負荷がかかると、ポジティブ思考になる)などのホルモンが放出された直後に、おにぎりを食べて、血糖値が急上昇したということだろう・・・。
 
確かに、この詩のような状態の場合、生物的に、幸福感は生じるのだろうけれど、それだけでは、「眼に涙」は、浮かんでこない。
 
この本の終わりの方には、「人生において眞に高貴なものは、すこやかな精神のはたらきによる、共同生活の正しい秩序や、人生と自然とのうつくしい、ゆとりのある調和」であると書かれていた。
 
文明には、人の交流が減少すると、その発達が衰退し、人口が減少し、やがて「消滅」するという歴史もある。そのせいか、北欧などでは、どこか自然との調和や、人の交流を大切しているような雰囲気がある。「涙がでる」という詩の背景には、もちろん、痛みもあるのだろうけれど、豊かな自然や、共同する人の姿も、見えてくるように思えた。




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