人は間違う生き物。…

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ここは、東京駅の隅っこにあるトイレ。
 
緊急時に押す非常用ボタンと、トイレを流すボタン(水洗スイッチ)を押し間違える人が、そこそこいるらしく、60センチぐらいの大きな貼り紙で、デカデカと注意が、書かれている。
 
貼り紙は、異常に大きい。
 
これだけの貼り紙が、貼られるまでの物語が、目に浮かぶ。きっと、最初は、小さな貼り紙だったのだろう。それでも、時々、サイレンが鳴り、駅員さんは、かなりガッカリ顔で、トイレに急行していたに違いない。
 
そこで、貼り紙を、異常にデカくしたのだ。
 
ところが、この物語は、これだけでは、終わらない。
 
60センチの貼り紙だけでは、非常用のサイレンは、止まらなかったのだ。
 
よく見ると、このトイレでは、水洗スイッチなるものが、物理的に押せないように、潰してある。旧式のトイレと同じように、手動式の水洗レバーだけが使えるのだ。
 
要するに、水洗スイッチは、もはや存在せず、押し間違いの注意を促すデカい貼り紙自体は、無意味に残っているのだ。
 
人は間違いを犯すもの。
 
もちろん、非常用ボタンだけは、残っている。

 
無意味な貼り紙だと思って、この貼り紙を撤去したら、1つだけ残った非常用ボタンを、押す人が、現れるかもしれない。




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